インドと日本の違いアレコレ(1) インドヒーリング特集Vol.4 -ヒトはなぜインドに魅せられ、インドを目指すのか-

2017.7.3  Cosmic Academy Japan

何もかもが日本と大きく違うのがインドの魅力でもあり、それが故にイライラしたりする事もしばしば。しかしそれもひっくるめて全てがインド。インドを愛し続けるには相応の包容力が求められます(笑)

広大な国土と気候風土

広大な国土を持つインド。29の州と7つの連邦直轄地域が集まった国で構成されていて、州によって使う言語も文字も異なり、表向き公用語はヒンディー語と言われてますが、実際の共通言語は英語という不思議な国です。食文化も違うため個性豊かな小さな国が集まっているので訪れた土地によって様々な表情を見せます。
南北は北海道から沖縄までが入るほどの距離です。
冬場の南北縦断は日本と同様に季節ががらりと変わるほどの体験が出来ます。
私は2度列車で2泊3日の南から北への縦断を経験していますが、冬場は北上するにつれ、車窓から眺める太陽の光やインド女性が身にまとっているサリー、線路沿いに生息している植物達から鮮烈なカラフルさが失われ、徐々にトーンダウンしていく事に寂しさを感じました。
気温も全く違います。肌寒いと思っても冬場の最低気温は20度前後の南インド。朝の冷え込みはヒトケタ台前半も珍しくはない北インド。
熱い国のイメージのあるインドですが北はヒマラヤ連邦を含んでいるため積雪のある地域もありますし、インドの新婚さん憧れの常夏のビーチリゾートもあります。

文化風習の違い

西洋の文化に慣れ親しんでしまった私たちは「個人」で物事を考えますが、今でも大家族文化の残るインドでは「みんな」を基準で考える傾向が強いです。
そして両親や祖父母をはじめとした年長者とても尊敬し、大切にしています。
マザコンなんじゃないのか? と思う程母親にべったりのおじさんなんかも多いですが、決してマザコンではないのです。家族の絆が深いのですね。
そしてみんな赤ちゃんや小さな子どもをとても大切にします。人口の半数以上が25歳以下。インドがこれから国力の伸びる国と言われる所以です。13億人もの人口がいれば分母の数からすると天才の生まれる確率も高くなりますしね。子どもたちは国の未来を担う大切な財産。周囲が大切に扱うのもわかる気がします。
「キミだってまだ小さな子供だよね?」と思う程幼い子でも赤ちゃんを抱っこしたり一生懸命に面倒を見ていますし、赤ちゃんをみた時のインド人の反応は凄いです。
我が子の様に抱き上げたりキスしたりして可愛がりますが、全く赤の他人だったりするので驚く事も良くあります。
結婚は最近では恋愛結婚も珍しくなくなってきたようですが、まだまだお見合いが多いようです。
田舎の方ですと遠い親戚同士で結婚したり同じコミュニティー内での婚姻が多いようです。
そして離婚。
これまで離婚はあまり一般的ではなかったようですが、近年ではバツ2、バツ3の女性も現れてきたという話を聞いた事があります。これはレアケースだとは思いますが…
私の友人(バリバリキャリアウーマンのインド人女性)もバツイチ女性ですが、離婚に関してはかなりの時間を必要とするようですね。3年ほどかかったと言っていました。

女性専用

このシステムはインドの方が昔から導入しているものの一つです。
男女の区別はハッキリと別れているのがインドです。公共の交通機関はバスでも列車でも待合室でも女性専用エリアや女性専用車両があります。
デリーの地下鉄は日本のゼネコンの協力で開通しましたが、女性専用車両のステッカーはどこかで見たなと思ったら、東京メトロの女性専用車両のそれと全く同じデザインでした。
電車の発車寸前に慌てて女性専用車両に飛び乗る男性客を車両の外に叩き出すパワーはインド女性の方が強いかも知れません。
大人気の俳優の映画の初日に映画館に行くと、熱烈男性ファンが長蛇の列を作っていましたが、ここぞとばかりに列の先頭に割り込みをして無事にチケットを購入した事もありました。女性という事で誰も文句を言う人がいなかったのですが、なぜか動物園のチケット売り場や列車のチケット売り場では平然とおじさんに割り込まれるので、普段の憂さをこの時はぱーっと晴らしました!

キャリアウーマン

2週間ほどインド人の友人の家にホームステイをしました。メディア関係で働くバリバリのキャリアウーマンの女性です。
インドでは女性の一人暮らしというのはまだポピュラーではなく、結構「変人」と思われる類だと聞いた事がありますが、アメリカ暮らしの経験もある彼女はデリー郊外の広い3LDKの部屋に一人暮らし。
インドではシェアハウスが一般的らしく各部屋にバスルームが完備されているので快適に滞在する事が出来ました。
朝は早くから夜も遅くまで働いているので、家事全般はお手伝いさんを雇ってすべてお任せ。私が滞在していた時は運悪く、お手伝いさんが不在の時期でしたが何人か近所の女性と面接をする現場には立ち会いました。
友人の家はお手伝いさんは基本的に早朝やってきて朝食と夕飯を作って掃除と洗濯をして帰るという感じでした。友人のお隣の部屋に住む音楽学校を経営する共働きの小さな子供さんが二人いるお宅でもやはりお手伝いさんを頼んでいて、まだ年若い妹と同居して妹にベビーシッターをお願いしていました。
日本の女性は自分の食事も疎かになるほど朝早くから夜遅くまで働いて、休みの日に溜まった家事を片付けるという感じですよね(^_^;)

衛生観念

インドは汚くもあり、そしてどこよりもとても衛生にはこだわっている国だと思います。
相反する事のように思えますが、本当ですよ。
一歩外に出れば外はゴミ箱と同じ。しかし家の中はピッカピカ。
そんな感じです。
昔はどんなゴミでも土に返ったのです。私が最初に旅をした25年前は、チャーイを飲む時は素焼きのカップで一回飲むごとに地面にたたきつけて割る使い捨てでした。道端で買うスナック類は古新聞で作った袋や葉っぱで作ったお皿に入っていて、いずれも道端に捨ててしまっても風雨にさらされているうちに土に返るものばかりでした。
時は流れて、いまはチャーイを飲むのもスナックを入れてくれるのもプラスチックの器。自然の力で土に返るのは難しいものばかり…でも感覚は昔のままなのかなと思います。
究極の衛生感だと感じるのは手で食事をする事です。
ナイフやフォークを使う事が衛生的だと思っているとこの考え方は青天の霹靂ですが、インド思想は違います。
「どこのだれが使ったかわからない、きちんと洗われているかも分からないナイフやフォークを使う事こそ不衛生」
という訳です。
確かに安食堂へ行くと「その布巾は洗った事ありますか?」という煮しめた様な布でスプーンなどを拭いたり手も拭いているのを目撃した事があります。
必ず洗う、どこで何をしたか良く知っている自分の手を使う事が一番の衛生的な食器であるそうです。そう言われてみれば確かにそうです。
そして手で食べるお料理は金属製品を使って食べるより格段に美味しいです。
食事を指先と舌で味わうのです。五感をフルに使っていただく食事は本当に美味しいですし、アーユルヴェーダで最も重視している「消化」という観点からしてもそれは正しい食事の仕方ですし、とても理にかなっていると思います。
話しは逸れましたが、外が汚いから全部が汚いのかというとそうではないですよというお話でした。逆に日本では「汚部屋(おへや)」という言葉が出来る程、外見はきれいでも部屋の中はグッチャグチャという人も多いみたいですね。

食事は毎日全食カレーとナンなのか?

毎食カレーか? はYesでありNoです。いわゆるカレー味が多いのは事実です。
クミンとコリアンダーというスパイスを使えばほぼ全部カレー味と言ってしまっても過言ではありません。
しかしそのバリエーションは豊富で、タマリンドという植物を使った酸味があるもの、ヨーグルトを使った物、未熟なマンゴーやバナナを使った物、汁気のないカレーやスープカレーの様な汁気の多い物など様々なカレーがあります。
さて、ナン。
タンドールという特殊な壷を使って焼いたパンです。インドには各家庭にこのタンドールがあります!というのは嘘で、ありません。ナンというのはレストランで食べる料理です。日本の様に巨大で甘くてふわふわしているナンはお目にかかった事がありません。
一般の家庭ではチャパティーという精製していない全粒粉の小麦粉を薄く延ばして焼いた無発酵のパン、南インドではお米や米粉を使った物も良く食べられています。
油で揚げたスナック類も豊富です。



この記事の著者紹介

ありはらみつこ
ライフバランスアドバイザー。高校生の頃からインドに興味を持ち、心身のバランスを崩した事をきっかけにインド伝承医療アーユルヴェーダを学び10年。長年の経験と知識で多くの方の心身の悩みを解消している。