アーユルヴェーダには何が含まれる? インドヒーリング特集Vol.3 -ヒトはなぜインドに魅せられ、インドを目指すのか-

2017.6.3  Cosmic Academy Japan

日本ではエステ、インド痩身、リラクゼーションという分け方が一般的でヨガをする方々には浄化法、インド料理を学ぶ方には食事療法というイメージをもたれる方もいるかと思います。
これが日本でのアーユルヴェーダの実態を曖昧にしている元かと思うのですが、上記3つのどれが正解でどれが不正解はなく、アーユルヴェーダはそれらすべて含む「健康で幸せに生き、良い子孫を残す」ための包括的なシステムなのです。

アーユルヴェーダの学びを深めたいと思ったら、いつか必ずといっていいほど直面する壁があります。アーユルヴェーダは間口が広く奥の深い学問といわれていて「衣食住」人間が生活する際に関係するすべてが含まれているので何を専攻しようかと悩むのです。
ですがその前のベースとなる理論があります。それはエステをする人でも、ヨガを深め浄化法を取り入れる場合でも、食事療法として使う場合でもそこは避けて通ることのできない大切な部分になります。

アーユルヴェーダが他の伝承医学と異なるユニークなものにしている最大の特長に体質診断があります。
各人の体質を3つのタイプ(正確には10のタイプ)に分け、外見上の特長や性格・性質の傾向、かかりやすい疾患などを教えてくれるものです。
自分の体質を把握することによって、その時々の過ごし方、不調の修正の仕方を教えてくれます。女性向けの本や雑誌などには占い的な感覚で掲載されていることがあるので、3つのタイプに分けるということはご存知の方も多いと思います。

遺伝的な要因や、かかりやすい疾患などはDNA検査の方が正確にわかるかもしれません。アーユルヴェーダの体質診断がDNA検査と違う点は、自分で自分の不調が現れてくる兆候にいち早く気づき、修正可能な状態のうちに元の状態に戻す、または病気になる以前の「未病」と呼ばれる状態のうちから対処することができるのが最大の特徴です。
高額な医薬品を使ったりすることなく、身近にあるもので修正できるのもアーユルヴェーダの面白さと言えます。
自分の健康は人任せ(医者任せ)にせず自分で管理したい方にはとても役に立つ知識ですし、ベースを覚えるとご家族など身近な方々にも応用することができるので、病気を未然に防ぎ健康増進の役に立つものです。

忙しい方にとって自分の心や身体の声を聴いている時間すらないという人もいるかもしれません。
薬局へ行って不快な症状を良くしてくれそうな何かを買ったり、病院へ行けば先生が治してくれるから必要ないと思うかもしれません。
ですが、長い月日をかけて日々積み上げてしまった悪いクセや習慣でできた不調を一瞬でなかったことにするという魔法はどこにもないということはお伝えしておきます。
仮に何かあったとしても、気になる不調Aを良くするために特に何でもなかったBに影響が及ぶことは避けることができない、ということは覚えておいてください。人間の身体は機械ではないので、一発で簡単に元には戻らないということを。

アーユルヴェーダは多くのことが科学的に説明ができないから迷信やオカルトと同じと信用しない人もいます。
科学的な検証ができていないから嘘や迷信というならば、紀元前から今日までなぜ、残って来たのでしょう? なぜ今再びアーユルヴェーダを世界中が注目し始めたのでしょうか? 化学で造られる医薬品がなぜわざわざスパイスや薬草から抽出した特定の成分を研究したり使用するのでしょうか?
アーユルヴェーダは現代にも適応するよう日々進化研究が進められている、古いのに新しい伝承医療です。

必要なことと必要でないこと、取捨選択は自分の意思でしなければ自分の健康も命も守ることができない時代になりつつあります。
その選択肢の基準のひとつとしてアーユルヴェーダという生き方もあります。
生きるための哲学、それがアーユルヴェーダというものなのです。
日本語に訳すことのできない専門用語が難しいイメージを与えていますが、専門用語は「そういうもの」と思ってしまえば難しくはありませんよ。
アーユルヴェーダを学ぶ・知るということは自然や自分自身を学ぶ・知るということに繋がります。

(西洋医学でしかできないこともたくさんありますので、西洋医学が悪いと言っている訳ではないことをここに明記しておきます)



この記事の著者紹介

ありはらみつこ
ライフバランスアドバイザー。高校生の頃からインドに興味を持ち、心身のバランスを崩した事をきっかけにインド伝承医療アーユルヴェーダを学び10年。長年の経験と知識で多くの方の心身の悩みを解消している。