私は小学2年生から高校生まで、
地方都市のど真ん中、
岡山県岡山市で育ちました。
特に大自然に囲まれているわけでもなく、
コンクリートの塀の上や、
アスファルトの道路が遊び場でした。
そんな私が自然と触れあうようになったきっかけは、
社会人4年目、1994年にNGOが主催する
タンザニア植林ワークキャンプへ参加したことでした。
『植林』って、なんだかイイコトで、
思春期からずっと感じていた
“周囲に合わせることができない無価値観”
から解放されるような錯覚を覚えたものです。
☆
帰国後、NGOのスタッフの方から、
尾瀬の自然観察会に誘われました。
自然ガイドさんに植物の名前や性質を
教えてもらいながらの散策は、
学生時代の山登りやハイキング(みんなのペースに合わせてダラダラと歩き続ける苦行)
とは、まったく別のとても楽しい体験でした。
またあるときは、
『日本で畑仕事をする。』
という活動に誘われました。
畑仕事は1か月に1回だけなので、
私たちの畑は、夏には腰丈ほどの
草原となってしまいます。
しかし、草原に分け入ると、
大根のような巨大キュウリが出てきたり、
真っ赤に熟れたピーマンが出てきたり
(普通のピーマンの種を植えています。)。
何より、1か月間水やりも草取りもしないのに
野菜たちがワイルドに育っていく姿に、
大地とつながっている力強さを感じたものでした。
さらに驚いたのは、自分の心の変化です。
自然の中は
流行がわからなくても楽しめる場所であり、
自分の興味に従って存在しても良い場所でした。
いつも自分よりも他人を優先していた私にとって、
自然の中は、自分のワクワクを最優先しても良い場所だったのです。
そんな活動を続けていると、
ほんの少し、
“こんな自分でも好きだな”と
思えていることに気がつきました。
自然の中で、自由に自分を表現しているうちに、
『今、ここに存在する自分』を
確かな感覚で感じられるようになっていました。
今思えば、自然の中で癒され、
真の自己をもたらす準備過程だったのだと思います。
☆
その後私は、もっと深く
真の自己と対峙するセラピーを受けるようになるのですが、
それは、時に、
“見たくなかった自分”、
“拒絶していたかった自分”、
“大嫌いだった自分”
との出会いであり、
厳しく感じることもありました。
この、ちょっと厳しい
『真の自己との出会い』へダイブする勇気をくれたのは、
自然の中での体験でした。
ジャッジせず、すべてを受け入れる
大自然とともに過ごした記憶は、
今でも自分を超えた大いなる存在への信頼に
つながっています。
(文:飯田みゆき)
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これまでの物語はこちら
森と魂のセラピスト、森林インストラクター、ハーバルプラクティショナー、薬剤師。
テーマ『自然と対話し、自分と対話し、今ここにある自分を祝福する』。
⇒森の癒しのヒミツを探る~森と魂のセラピストブログ