日本では特定の食品を食べた時に得られるひとつの効果についてメディアが取り上げると、その食品だけにとても注目が集まる現象が起こり、しばらくはそれが品薄になり、半年もすれば余剰在庫として値崩れして売られているのをよく見かけます。
本来、自然から得られるもので(動植物および鉱物も含む)薬にならない物はない
とアーユルヴェーダでは考えていますので、私たちが陥りがちな
「何を食べるか?」
ということよりも
「どのように食べるか?」
のほうが重要であるとアーユルヴェーダでは言っています。
現代社会でもっとも疎かにされている「どのように食べるか」
食事に対する姿勢がもっとも大切であるということです。
たとえばオフィスでのランチタイムを例に見てみましょう。
自分のデスクでスマートフォンやPCを見ながら、または仕事をしながら食べるランチ。
意識は食事ではなく、それらの画面に集中しています。
仲の良い同僚たちと賑やかに会話に夢中になりながら食べるランチ。
意識は食事ではなく、会話の内容かあるいは次の話題を何について話すかを考えています。
ほとんどがこの2パターンのどちらかであると思います。
本来意識というものは常に現在目の前にあることに集中するものです。
自分がいま口にいれているものの味、食感、咀嚼の回数、食べ物に感謝をする気持ち。
そのような行為が、食べた物がもっとも有益に身体に作用する食べ方であるといいます。
意識がほかにありながら食べる食事は、その食材がどんなに素晴らしい効果をもっていたとしても、無意識に胃へ送るだけではただ「空腹を満たすだけの行為」です。
「テレビを見ながらご飯を食べてはいけません」という言葉は聞かなくなってしまいましたが、これは実は食べる上でもっとも重要なことのひとつでした。
もちろん、楽しむための食事というものもあります。
その時は大いに会話や提供された料理の美しさや香りなどを楽しめばいいと思います。
ですが日常的には意識をもって食事をするようにすると、普段何気なく食べていたものでもきちんと薬としても作用する。
ということを覚えていてください。
自分の望む効果のある栄養素を取(←摂)ることよりも、きちんと消化・吸収されることがもっとも心身の健康にとっては重要なのです。
健康に良い食べ方とは
- 新鮮な出来立ての食事を食べる
- 食事の速度は早すぎず遅すぎず
- 一口32回噛むことを心がける
- 目の前の食べ物に感謝をする
- 食事中には冷たい飲み物を飲まない、大量の水分を摂らない
- 加工食品は出来るかぎり食べない
アーユルヴェーダでは魂は永遠であり、その魂が入っている現在の肉体は神様から一時的に借りてきたものと考えます。
どの本で読んだかは記憶が定かではないですが、インドの高齢の方は日本とは違って「早く死にたい」とは言わず「早く新しい体になりたい」というそうです。
インドの古典書「バガバットギーター」でも
「魂は新しい服を着替えるように古い肉体を脱ぎ捨て新しい身体に宿るもので、魂は永遠である」
と言っています。
このように「自分の体」ではなく肉体は神様から借りてきたものと思い、大切に慈しむ気持ちをもって食事をすると消化が良くなり、結果的には正常で定期的な排せつや健康な皮膚や髪などが作られることに繋がるのです。
食事の鮮度も重視しています。
もっとも美味しいタイミングは出来たてであるのはもちろんですが、愛情をもって作られた出来たての食事は栄養素以外にもたくさんの恩恵を心身に与えてくれることでしょう。
次回はみなさんが知りたいアーユルヴェーダ的な栄養学についてお話ししたいと思います。
インドヒーリング特集 シリーズ一覧
この記事の著者紹介
ライフバランスアドバイザー。高校生の頃からインドに興味を持ち、心身のバランスを崩した事をきっかけにインド伝承医療アーユルヴェーダを学び10年。長年の経験と知識で多くの方の心身の悩みを解消している。